強すぎる「理念」が、逆に会社の成長を止めてしまう皮肉な理由とは:EOS入門
事業を通じて世の中に何を届けたいか。お客様にどんな価値を提供したいのか。その定義が驚くほどクリアで、誰の心をも動かす会社があります。顧客の評価も高く、売り上げも好調。実はこういう会社ほど、陥りやすいワナがあります。
理念に強く共感する人は、まさにその理念を実現するために「自ら」動いてくれます。指示などなくても「空気を読み」、何をすべきか「察し」、埋めるべき穴を埋めにいってくれます。だから一見、スムーズに会社は回っているように見えます。
理念の浸透は仕組み・構造の欠如を覆う
しかし実際にそれを支えているのは、社長を含むごく少数の「できる人」の察する力と超人的な頑張りです。強い理念が浸透しているからこそ、仕組みや構造の欠如が覆い隠されてしまっているのです。皮肉です。
これは問題です。持続可能ではないからです。少数の「できる人」の健康や離脱が心配ですし、隠れた非効率は利益率を押し下げます。
また、会社の成長も止まります。経験と勘を備えたベテランに依存するしかなく、その数が成長のボトルネックになります。理念が強いがゆえの「自社の弱みへの気づき」の遅れです。
あるクライアントとの仕事を通じて、私はこのことに気づきました。
社長は地域や業界、顧客のために素晴らしいビジネスを作り上げ、さらなる拡大を望んでいましたが、その理念に共感する数人の幹部が自己犠牲的に会社を支える状態が数年続いていました。
そこにコロナが直撃し赤字転落。社長は「何かを変えなくては」と、私が勧める「OSによる経営」を取り入れました。
そして標準化と構造化が進み、他のメンバーも素晴らしい仕事をしてくれるようになり、売り上げと利益は再び成長を始めました。理念もさらに研ぎ澄まされ、より多くの人に届くようになったのです。
理念、つまり「なぜ・何を目指すか」と、仕組み、つまり「どう実行するか」は両輪です。理念が突出して強い会社は、優れた個人に依存したまま止まってしまいがちです。
強い理念は完成された仕組みを得てはじめて、実現されるのです。







