HUB CONNe
#企業支援

「人を責めない、仕組みを責めて改善する」 3300人の工場長は、町工場へ向かう


幸献コンサルティング株式会社

FacebookxLINElinkedin
「人を責めない、仕組みを責めて改善する」 3300人の工場長は、町工場へ向かう

不良が出る。原因を探る。だが、追い詰める相手は人ではない。

「お前が悪いんじゃない。仕組みができていなかったんだ。じゃあ、仕組みをどう直そうか」

ベトナムの工場で、重松圭はそれを毎回繰り返した。人を責めれば萎縮するだけだ。仕組みを責めれば、一人の頭の中にあったものが会社のものとして残る。

3300人。彼が工場長として率いた組織の、最後の人数である。

2026年5月5日、重松は幸献コンサルティングを設立した。54歳。オリンパスで32年を過ごした男の、後半戦が始まっている。

Sponsored by 幸献コンサルティング

「セブに行ってくれ」

芝浦工業大学で電子工学を学び、1994年、オリンパスの海外生産部門に入った。入社時から思っていたことが二つある。海外でやりたいこと、いつかコンサルタントになりたいことだ。大企業の階段は長い。だが海外は、駐在員と工場長の間の層がほとんどない。自分で経営をやりたいなら、外へ出るしかなかった。

入社4年目、上司に呼ばれ、協力工場を支援する目的でフィリピン・セブ行きを告げられた。マネジメントは日本で一度も経験がない。

工場に着いた初日、数百人のスタッフの視線が26歳の新しいボスに注がれた。後戻りはできなかった。カメラを作るのが初めての工場で、人材育成から始め、2年で3機種を立ち上げた。

16カ月

香港を経て渡った広州では、電子基板部門をゼロから立ち上げ、3年で300人、ライン10本にした。帰国後は製造の戦略を描く製造企画へ。脱中国を見据え、次の拠点はベトナムに決まった。

2007年。デジカメ事業は3000億円規模の絶好調で、役員から「今がチャンスだ、最速で立ち上げなさい」と言われた。土地の契約、製造ライセンス、採用と教育、工場建設、取引先の開拓、就業規則。すべてゼロからだった。

12、13カ月が過ぎた頃、リーマン・ショックが来た。工場はすでに建ち終わっていた。半年遅れて建設中なら、止めろという判断が下っていた。

「あの時ほど、仕事はスピードだと思ったことはないですね」

この工場があったから、10年後に中国工場を閉じ、ベトナムへ集約する選択ができた。

マイナス100億から始まる計画

本社に戻ると、社長の右腕だった。方針打ち合わせにはすべて出て、半期に一度の方針説明会の資料もすべて作る。それが4、5年続いた。

その間に市場が消えていった。1億2000万台あったデジタルカメラの需要は、スマートフォンの登場から3年で6000万台へ。事業計画はマイナス100億円から始まった。2011年には経営陣が入れ替わる事態にも見舞われている。

「現場がしっかりしているので、どんな経営になっても現場はあまり変わらないんです」

医療を止めないため、人は現場を回し続けた。

現地のリーダーと共に職場VISIONを語り、実行計画をレビューする様子
現地のリーダーと共に職場VISIONを語り、実行計画をレビューする様子

空席だらけの組織図

2014年、工場長として再びベトナムへ。着任時1000人だった工場は、中国からの集約で19年に3300人になる。

だが着いた時、組織は組織になっていなかった。組織図と職務分掌を作り直し、人を当てはめると、空席が大量に浮かび上がった。埋めるべき層はおよそ50人。3年で現場管理者に育てる。それが最大の仕事になった。

ベトナム人は素直で真面目だが、問い詰めれば頑なにもなる。だから、人を責めなかった。責めるのは仕組みだ。仕組みを直せば、対策は不良のない状態のまま運用され続ける。

そしてVISIONを語り、現地リーダーにも職場VISIONを描かせた。これによって他人事だった仕事が自分ごとに変わり、リーダーが物凄いスピードで育った。

退職後、半年で80人の経営者を取材

2020年、医療機器の調達へ移った。相手の多くは直接取引の中小企業で、約150社。1社が止まれば、医療が止まる。監査で締め上げるのではなく、経営が傾けば投資の組み立てを一緒に考えた。

退職の1年前、中小企業の支援をさせてほしいと願い出て、部下を持たない部長ポストが特別に作られた。そして、独立した。

「30年サラリーマンをやりました。元気なら70、75までは働ける。あと20年サラリーマンをやる選択肢はないな」

退職後の半年で約80人の経営者に会った。

「私がやってきた工場長の仕事と、中小企業の社長の仕事は、ほぼイコールだったんです」

幸せを献じる

社名の「幸献」は、幸せを献じる、と読む。クライアントの成功、社員の成長、社会への貢献。三方よしを込めた2文字だ。ミッションは「働く誇り」を現場からつくること。

事業の柱は三つ。社長と経営幹部への伴走支援、QCDとVE(価値工学)による現場改善、社員教育である。改善の土台には5S、目標管理、何でも言える職場からなる「現場力強化プログラム」を置き、毎月訪問して2年かけて文化にする。

「社員教育をやっている会社は、人が辞めないんですよ。社長が勉強熱心であれば、社員も動く」

究極の組織作り:「仕組み」 × 「ビジョン」 の融合

最も力を入れるのがビジョンの浸透だ。仕組みだけの会社は整然と回るが、楽しくない。ビジョンだけの会社は仕事が回らない。両輪がそろって初めて理想の職場になる。

経営理念とは違う。ビジョンとは3年後、5年後、10年後にどうありたいかだ。

「3年後、5年後と聞くと、止まってしまう経営者は多いんです」

描けない相手とは壁打ちから始め、言語化できたら生成AIで視覚化する。そして描いたVISIONを計画に落し込みそれを実現して行く。原体験はオリンパスにある。3年後の姿をみんなで描いた職場は活気があり、言葉が変わった。

「これは自分の仕事だ、自分の会社だ、と言い方が変わってくるんです」

32年かけて集めたものを、これから20年かけて配っていく。

(敬称略)

FacebookxLINElinkedin

企業情報

企業名
幸献コンサルティング株式会社
HP
https://kokenconsulting.hp.peraichi.com/

こちらの掲載企業と連絡を
取りたいなら

ぜひ、マッチングサービス(会員限定)を
ご利用ください!
かながわ経済新聞が窓口となり、
おつなぎいたします。
まずは、下記リンクからお気軽に
ご相談ください。

こちらの記事も読んでみる


産業動向の最新情報を知るなら

神奈川県の企業に取材した最新情報を
メールで配信!
記者が取材した「最新記事」を
メールでお届けします!

中小企業の協力・
協業マッチング受付中!

記者による圧倒的な取材力を活かした
企業マッチングサービス(会員企業限定)を
ぜひご利用ください。

「企業様の声」

成長には連携が欠かせない時代。HUB-CONNeは、多様な情報を通じて新たな機会を生み、相互に価値を高める連携を実現できるプラットフォームです。

株式会社TNPパートナーズ

代表取締役社長・呉 雅俊氏

HUB-CONNeは新たな出会いを生むプラットフォームだと感じています。地域企業の可能性を広げ、挑戦や共創を後押しする取り組みに期待しています。

株式会社タシロ

代表取締役社長・田城功揮氏

かながわ経済新聞の広いネットワークのメリットを享受でき、当社事業の顧客拡大や関連する技術、補助金情報などの機会を提供頂いています。

南開工業株式会社

代表取締役・中村仁氏

ピッチコンテストや勉強会を通じて他業種とのつながりが生まれ、新たな事業計画や協業へと発展しました。

株式会社シェノン

代表取締役・西條英之氏

かながわ経済新聞を通じて官公庁との関係構築などが実現し、業績とブランディングに大きな成果をもたらしました。

株式会社バイオクロマト

代表取締役・木下一真氏

記事掲載をきっかけに取引先の紹介や新たな出会いが生まれ、地域に根ざした媒体として高い価値を感じています。

株式会社スリーハイ

代表取締役・男澤誠氏

挑戦する企業の情報を手軽に得られるだけでなく、経営者の姿勢から学びや刺激を受けられる貴重な場です。

株式会社ミズキ

代表取締役・水木太一氏