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ものづくりの礎「金型」、国内回帰を支える町工場の存在感


有限会社原プレスエンジニアリング

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ものづくりの礎「金型」、国内回帰を支える町工場の存在感

ものづくりの世界で「マザーツール」と称される金型は、国内のものづくり産業にとっては競争力の源泉ともなる。原プレスエンジニアリングは、プレス金型を設計・製作するだけでなく、その金型を活用して効率的に量産し、コスト競争力を高める工法開発までも手掛ける。海外に負けない競争力を生み出し、メイド・イン・ジャパン復権を目指して、社員数10人の町工場が奮闘する。

競争力を高める工法開発

マザーツール製造、45年

プレス金型とは、金属板を打ち抜いたり、曲げたり、絞ったりすることで、精密な部品を成形するための「型」のこと。

自動車や家電、電子機器など、現代社会を支えるあらゆる製品の部品づくりには、金型が欠かせない。ものづくりの根幹を支える存在であり、これが「マザーツール」と呼ばれるゆえんだ。

製造業の海外移転が進み、日本のものづくり競争力の低下を危惧する声は根強い。金型は最後のとりでであり、国内製造業の命運を握る重要な分野の一つでもある。そして海外企業に負けないコスト競争力を持つには、短時間で大量生産を可能にするプレス加工技術の進化が不可欠なのだ。

同社は1978年に設立。以来45年以上にわたり、プレス金型の可能性を追求する。

創業者である原寛治社長は、叔父の金型会社や大手プレス機械メーカーの金型部門で経験を積んだ。現在、量産ラインで使用するプレス金型の設計製造をはじめ、工法開発、さらには自社開発した金型を用いた量産プレス加工を展開。金型に関してあらゆるニーズに対応できる社内一貫体制を整える。

同社では、例えば電気自動車(EV)の角型・丸型バッテリーケースの精密絞り加工など、高度な技術を要する部品の金型を製作する。さらに0.1ミリという薄い板材の深絞りや板材からパイプに丸めるプレス造管を開発。プレス造管は、日本塑性加工学会会長賞を受賞し、プレス業界でもその技術力が高く評価されたという。

工法開発を低コストで

「金型を作るには、まずは金属の特性を知る必要があります。金属も何十種類。熱処理すると伸びたり縮んだりもします。こうした知識がないと金型製作は難しいです。構造も複雑なので、勉強が必要です」と原社長は語る。

プレス金型に関する豊富な経験を生かす事業として展開するのが主力の「工法開発」だ。

同事業は、これまでは機械加工や研削加工などで一品一品、手間と時間をかけていた複雑な部品などの生産を、プレス金型による加工に置き換えることで、低コスト・量産を実現する工法を提案するものだ。

現在、大手メーカーなどを中心に年間数十件の工法開発プロジェクトを任されている。

国内回帰が追い風

一方、同社が自社開発した金型を使って部品そのものを生産する「量産プレス加工事業」に対する需要も高まっている。

「ここ数年、中国でも製造コストが上がり、輸送コストもかさむようになっています。そのため、国内で安定的に製品を供給する流れが増えてきました。例えば、インフラ関連や自動車部品は供給が止まると大変です。国内で生産する方が安心です」と原社長。こうした傾向は今後も続くとみており、実際、引き合いも急速に増えているという。

課題もある。国内で金型技術を継承する人材の減少だ。「残念ながら、金型に従事する若い人材は減っています。アニメやマンガ、ITばかりに注目が集まっていますが、金型技術が失われれば、日本の製造業そのものが立ち行かなくなります」と危機感を募らせる。

そんな状況だからこそ、社内では技術の継承にも力を入れる。金型こそが産業の礎―。その灯を絶やさぬよう、次世代へと伝え続けている。 

(かながわ経済新聞2025年2月掲載)

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企業情報

企業名
有限会社原プレスエンジニアリング
HP
http://www.hpeng.jp/index.html
住所
相模原市緑区青山2984

執筆者紹介

道添 元美

道添 元美

副編集長

日本女子大学卒業後、IT企業にて金融機関向けシステム開発に携わる。神奈川県の諮問機関「神奈川県中小・小規模企業活性化推進審議会」委員。横浜商工会議所女性会、相模原商工会議所女性会、横浜北工業会所属。2024年日本女子大・広岡浅子賞受賞(社会貢献部門)を受賞。大学院ジャーナリズム学修士課程在学中。

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