その一文、本当に必要ですか?AIで契約書に条項を「足しすぎる」ことの落とし穴
今回は視点を戻して、AIで契約書を作る場面の、もう一つの落とし穴、「条項の盛り込みすぎ」を取り上げます。
AIが作った契約書を見ていると、体裁が整っているだけでなく、条項の数がやたらと多いことがあります。「念のため」「万一に備えて」と、思いつく限りの条項をずらずらと並べたようなものです。
ご本人としては手厚く作っておいたつもりでも、実はこの「盛り込みすぎ」にも独特の落とし穴があります。
相手方の警戒を招く
契約書は、相手との信頼関係を形にする書面でもあります。
ところが、細々とした違約金条項や、あれこれと禁止事項がずらりと並んだ契約書を差し出されると、受け取った側は「この会社は何を疑っているのだろう」と身構えてしまいます。
取引が始まる前から、関係にひびが入りかねないのです。
交渉が長引く
条項が多ければ多いほど、相手方の担当者や弁護士は一つひとつを確認しなければなりません。
本来なら数日で済むはずの契約締結が、条項の追加や修正のやりとりで何週間もかかる─。そうした事態が現に起こっています。
かえって自社を縛る
契約書の条項は、多くの場合、相手方だけでなく自社にも同じ義務を課します。
厳しい報告義務、細かな遵守事項、広範な秘密保持義務...。「相手を縛るつもりで入れた条項」が、いざ自社が動こうとする場面で足かせになる、というのはよくあることです。
契約書の本当の強さは、条項の多さにあるのではありません。想定される事態に絞り、必要十分な条項を選び取る目にあります。その「取捨選択」こそ、AIには任せきれない、専門家の役割なのです。


.jpg?fm=webp)




