人手不足時代‥選ばれるのは、あえて「断れる」会社:EOS入門
日本は今後、さらに深刻な人手不足に直面します。リクルートワークス研究所の推計では、2040年に全国で約1100万人の働き手が不足するとされ、帝国データバンクの調査でも、26年上半期の「人手不足倒産」は227件と上半期として過去最多を更新しました。
会社のコア・バリューに沿う
この状況で、多くの経営者は「どうすれば応募を増やせるか」を考えます。人手が足りなければ、つい「来る者拒まず」になりがちです。しかし実際に人を採り続けている会社は、むしろ逆の発想をしています。入社希望者を、基準に沿って「断れる」会社です。
「断れる」ということは、採用基準がはっきりしているということです。スキルや経験も大切ですが、最も重要な基準は「価値観」が合うかどうか、です。
たとえば「成長なくば衰退」「細部に魂を込める」といった、会社が最も大事にする価値観、いわゆる「コア・バリュー」です。
これを明文化できている会社自体、実はまだ多くありません。明文化していても額に飾るだけで、採用や評価の基準として使われていない会社も多いと思います。合わない人は、どれほど優秀でも入社させない―。ここまで踏み込んで初めて、コア・バリューは意味を持ちます。
これを徹底し続けると、会社には強固な価値観、つまり「カルチャー」「社風」が育ちます。すると不思議なことが起こります。
同じ価値観を持つ人が、向こうから「入れてほしい」と言ってくるようになるのです。さらに、今いる社員が、同じ価値観の友人を自分から誘ってくれるようになります。
私のクライアントのある会社では、欠員が出るとまず従業員に「誰か紹介してくれないか」と声をかけます。それだけで、実に8割の採用が決まるといいます。
従業員が自分の友人を誘えるのは、自分の会社とその価値観に、彼ら自身が誇りを持っている証しでもあります。
人手不足の時代に必要なのは、応募者を増やす努力だけではありません。断る基準を持つこと。逆説的ですが、それこそがこれからも選ばれ続ける会社をつくる第一歩です。







