「AIで契約書を作成」は大丈夫? 三つの「落とし穴」に注意を
AI時代の法的リスクについて、「AIが作ったものを使う場面」の代表例、契約書を取り上げます。「ChatGPTに業務委託契約書を作ってもらったので、ちょっと見てもらえませんか」。最近、こんなご依頼が増えました。拝見すると、体裁は整っているのですが、肝心の条項が抜けていたり、自社にとって不利な条件が紛れ込んでいたりします。
AI作成だからこそ専門家の確認を
生成AIの作る契約書には、実は「落とし穴」があるのです。落とし穴は大きく三つあります。
一つ目は「もっともらしいうそ」の混入です。
生成AIは、存在しない条文や判例を堂々と引用することがあります。「民法第○○条により...」と書かれていても、実際にはそんな条文が存在しないケースに遭遇したこともあります。
二つ目は、自社の立場が反映されない点です。
AIは「業務委託契約書のひな型」を求められれば、中立的なひな型を出してきます。しかし契約書とは本来、自社が委託者なのか受託者なのか、あるいは力関係はどうか、想定リスクは何か─などによって書きぶりを変えるべきものです。AIには、その「立ち位置」がないのです。

三つ目は、業法・特別法への配慮不足です。建設業法や取適法(旧下請法)、フリーランス新法、個人情報保護法といった業種ごとの規制を、AIは網羅できません。特に最新の法令や判例に照らして正しいかの判定をAI任せにするのは危険といえます。
では、AIは使えないのでしょうか? というと、そんなことはありません。たたき台の作成のほか、条項の意味の解説、自社にとってのリスク発見といった用途では非常に有用です。
要は、最終チェックを必ず専門家が行うという前提で活用すべきだということに尽きます。
契約書は、会社を守る最後のとりでです。AIで作ったから安心、ではなく、AIで作ったからこそ専門家のチェックが必要と、発想を切り替えていただきたいと思います。


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