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#事業承継#企業支援

事業承継の実相(上)「巻き込みたくない」脱ファミリー化も加速


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事業承継の実相(上)「巻き込みたくない」脱ファミリー化も加速

この連載は、月刊地域経済紙「かながわ経済新聞」の取材などを通じて感じた神奈川県内の中小・小規模企業のリアルを綴っている。今回は「事業承継」を取り上げたい。

「苦労させたくない」教育の裏目

先日、取材している金属加工企業が廃業の準備に入ったことを知らされた。

大手企業からの受注で相変わらず価格転嫁ができず、やればやるほど赤字になる体質から脱却できずにいた。

息子もいるが「先行きに希望が持てない中で、巻き込みたくない」と、事業承継も断念した。実際、中小製造業では同様なケースが後を絶たない。

また、別の取材先、自動車関連の販売会社では、有名大学を卒業後に外資系企業に勤務していた息子が跡継ぎとして入社したが、2年と持たなかった。「やっていられない。ほかにやりたいことがある」。親子げんかの末、会社を去っていった。こちらもよくあるパターンである。

学歴のないたたき上げ社長が創業し、苦労して会社を発展させる。その一方、息子たちには苦労をさせたくないと、教育にお金をかけた。だが、有名大学から一流企業へと進んだ子は、中小企業の社長といった割の合わない仕事はしたくない。結局、後継者不足に陥る。取材先にはこうした会社が多い。

増える「非血縁者の昇格」

こうした中、神奈川県内の企業の後継者不足に改善の兆しが見えている。それは「脱ファミリー化」だ。親族ではなく従業員や役員に会社を託す流れが定着し、M&A(合併・買収)による第三者承継も広がりを見せている。

帝国データバンク横浜支店が2025年末に発表した神奈川県内全業種1万3382社を対象とした調査によると、「後継者不在率」は55.8%となり、8年連続で改善した。ピークだった2017年の74.0%から18.2ポイントも低下している。

また、2025年に代表者が交代した企業を見ると、血縁によらない「内部昇格」が37.1%と最多となり、「同族承継」(31.8%)を4年連続で上回った。M&Aによる承継も19.5%に達した。

後継者候補となる子息が異なる業界でキャリアを築くケースが増え、経営者側も会社存続のために選択肢を広げているという。

行政支援も充実するが‥

一方、事業承継を進め、後継者難を改善するための行政支援も充実してきている。

例えば、支援機関である「神奈川県事業承継・引継ぎ支援センター」は、神奈川県内の自治体や金融機関、商工団体など121機関と連携し、中小企業の相談にワンストップで対応。「事業承継診断」を通じて支援ニーズを掘り起こしている。

川崎市も2023年に民間支援事業者や地域金融機関などと連携した承継準備段階の伴走支援を本格化。内閣府が提唱する「経営デザインシート」などを活用し、月1回ペースで将来構想の策定を支援している。

とはいえ、神奈川県内の後継者不在率は依然として全国平均(50.1%)を5.7ポイント上回り、関東で最も高い水準が続く。

=次号に続く

(総合情報誌「ニューリーダー」で連載中)

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執筆者紹介

千葉 龍太

千葉 龍太

代表/編集長

2000年、朝日ニュースターに入社し報道制作本部。2001年日刊工業新聞社入社、相模支局記者、本社編集局第一産業部記者、第二産業部記者を経て、神奈川新聞社に転職。整理部記者、経済部記者を経て、2013年に「かながわ経済新聞」を創業。現在に至る。文部科学省「市町村アカデミー」講師(プレスリリース書き方講座)、相模原商工会議所1号議員(工業部会)、22年度産業功労賞受賞、一般社団法人神奈川ニュービジネス協議会理事(前プロモーション委員長)、NPO法人・ベンチャー支援機構MINERVA理事。

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