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老舗画材メーカー、新規事業の挑戦 魚介の陸上養殖で販路拡大


デリーター株式会社

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老舗画材メーカー、新規事業の挑戦 魚介の陸上養殖で販路拡大

漫画画材を製造販売するデリーターが、魚介類の陸上養殖に挑戦している。海面ではなく陸上の遊休地などで魚介類を育てる陸上養殖は、食料自給率の向上や地域活性化への貢献が期待されており、大手企業も続々と参入する。その中で、同社は全く異なる分野で“二刀流経営”を進め、見事に両立し販路も拡大中だ。

父から子へ、二刀流経営の承継

漫画の背景にアミ掛けなどの模様をつける「トーン」を製造販売し、世界105カ国に輸出。日本が世界に誇る漫画文化を支えている。

創業は1984年。金子一郎社長の父である寛一氏がパソコン用品メーカーとして始め、やがて画材メーカーへと業態を転換した。

現在の金子社長は2008年に文具事業を引き継いだ。漫画制作のデジタル化が進み、トーンの出荷が減少する中、印刷工場を少人数で低コスト運用できる形に効率化。「1枚400円」に販売価格を抑えたまま、利益を確保できる体制を確立し、製品はアナログの味を求める漫画制作者やファンに高く評価された。今も売り上げの85%はトーンを中心とした文具が占める。

サーモンを地元に卸す

事業承継と同時に、父・寛一氏は、新たな挑戦としてサーモンとチョウザメの陸上養殖事業に転じた。

神奈川・三浦に養殖プールを整備
神奈川・三浦に養殖プールを整備

同社の養殖事業は、神奈川・三浦半島の畑のなかに温度18度の清涼な湧き水をかけ流しにしたプールを造り、抗生物質を使わずに健康・安全な魚を飼育している。

父の始めた養殖事業を、金子社長は2023年に引き継ぐ。先代は趣味に近い形で品質を追求していたが、会社である限り収益を追求しなければならない。漫画画材と陸上養殖─。接点がないビジネスの“二兎を追う”ことになった。

サーモンの養殖に特化
サーモンの養殖に特化

金子社長は、販路が限られていたチョウザメの出荷を一時停止する一方、元水族館勤務の魚のプロをスタッフに迎え、サーモンの養殖に集中した。

養殖サーモンは通常2年以上かけて太らせるが、金子社長は1年で出荷する「若魚」の販路を開拓。淡泊でほのかに脂の乗った独特のうまみが料理人に評価され、三浦半島を中心に飲食店への卸販売を始めた。

「たくさんの漫画ファンがデリーターの挑戦を応援しようと冷凍サーモンを買ってくれました」(金子社長)と、本業との相乗効果もあったという。SNSなどで口コミも拡散した。

サーモンの冷凍刺し身を商品化
サーモンの冷凍刺し身を商品化

新たにBtoC商品の開発にも着手している。

サーモンの冷凍刺し身、オリーブオイルに漬けた瓶詰め、身をパックしたレトルトタイプのお茶漬けなど、全国の加工食品メーカーと連携して商品開発を進める。画材メーカーとして商品企画からデザインも一手に担っていた経験も生かしているという。

「漫画画材のトーンを世界に輸出しているように、今後はサーモンも海外展開を目指します」と金子社長は意気込んでいる。

(かながわ経済新聞2025年3月掲載)

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企業情報

企業名
デリーター株式会社
HP
https://deleter.jp/
住所
神奈川県三浦市三崎町小網代12-2

執筆者紹介

奥田 耕士

奥田 耕士

編集委員

かながわ経済新聞編集委員、合同会社町工場総研(https://smallfactory.net/)代表。1987年日刊工業新聞社入社。編集局で各種業界の取材記者を担当後、南東京支局長、本社秘書部長、編集局中小企業部長を経て2012年退社。公益財団法人・大田区産業振興協会で中小企業の経営サポートを担当した。著書に『経済記者発広報部御中』『傳田信行 インテルがまだ小さかった頃』『進化する老舗「福助」再生物語』(いずれも日刊工業新聞社)など、共著に『下町ボブスレー 復活のゴール』(朝日新聞出版)がある。

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